レザークラフトに役立つ道具【中・上級編】

以前、レザークラフトを始めるための最低限の道具をまとめた記事を書きました。
前記事では本当に最低限の要素のみを絞り込んだ内容にした為、中・上級編にはものたりない内容だったと思います。
今回はレザークラフトに役立つ道具【中・上級編】をお届けします。

1:革漉き機

本気でレザークラフトをやるにあたって避けては通れない道が漉きです。
革包丁一本でも漉き加工は可能です。
むしろ機械加工ではなく革包丁の方がやりやすい漉き加工もあります。
しかし、様々な作品を作りにあたって革包丁だけでは難しい漉き加工を要する場面に遭遇することも多々あり、レベルが上がれば上がるほど結果革漉き機の必要性が大きくなってきます。
特に、ベタ漉きは革包丁ではほぼ不可能な作業です。
専門業者に頼めば加工してもらえますが、いちいち納期と費用をかけていられません。
また、専門業者でも1mm以下の薄漉きは、革の損傷を保証してくれない場合も多く、リスキーな面も大きいのです。
革漉き機には、電動タイプと手動タイプがありますが、以下に簡単な特徴を記載します。

【手動タイプの革漉き機の特徴】
・メリット:安価であること。

・デメリット:刃物コンディションの維持が難しい。
手動タイプは安価で購入できるメリットがある反面、適正なコンディションを維持するための手入れが難しい事が一番の難点です。
革漉き機は革包丁以上に刃物のコンディションを最高の状態に保つ必要があります。
革漉きは裁断と違い、刃の大きな面積に力がかかるため、切れ味も最高の状態を維持しておかないと上手く漉く事ができません。
電動タイプはモータの補助もあるため、漉きに対する刃物のコンディションも若干は相殺する事ができます(繊細な漉きをする場合は電動もかなりシビアです)が、手動タイプはよりシビアな刃物コンディションが求められます。
限定的な使い方であれば手動タイプのメリットが生かせるかもしれませんが、個人的には手動の革漉き機であればよく研いだ革包丁の方が汎用的だと思います。
手動タイプの革漉き機を購入する際は十分に自分の目的を見極めてからにしましょう。


【高価な電動タイプの特徴】
・メリット:安定した美しい漉きが可能。
・デメリット:高価で大きい。
電動の革漉き機はとても高価ですが、手動タイプとは比較にならない快適な使用感。
使いこなせれば安定した美しい漉きが可能です。
また、難易度は非常に高いですが、手漉きでは不可能なレベルの超薄のベタ漉き等、様々な漉き加工に対応ができます。
刃物のコンディションの重要性は手漉きと変わりませんが、研ぎ作業もモーターを利用するため比較的スピーディに行えます。
手動タイプと比較すると高価で、広い置き場所(小学校の机一個分くらい)が必要な為、最低限この2点をクリアする必要があります。
また、サーボモーターを用いた革漉き機は静かで騒音はほとんど気になりませんが、古いタイプのクラッチモーターを使用している革漉き機は騒音問題もクリアする必要があります。
しかし、長くレザークラフトに取り組むのであれば、間違いなく価格に見合ったリターンを得られます。
最初から本気で取り組みたいレザークラフターや、手動の漉き作業が難航しているのであれば導入して後悔することはないでしょう。

【優良メーカーの紹介】
1:最も有名なメーカー株式会社ニッピ機械です。
革漉き機の他、様々なレザー加工の機械を製造販売しています。
革漉き機も、用途に応じた多数の品番が存在し、専門性の高い機械が揃っています。
国産の為、値段は少々張りますが、とても信頼の置けるメーカーです。

2:TAKING(台湾製)の製品を輸入販売されているZit tools様
海外製の本体ですが、TAKINGの革漉き機はとてもしっかりしており精度も良い印象です。
また、本体やモーター、メンテナンス用具一式、セッティング用の作業台からフットペダルまでオールインワンパッケージになっており、非常に親切な販売形態なのが嬉しい点です。
説明書も日本語のものが付属し、分からない点があれば丁寧に回答していただける為、初見の方でも安心して機械を操作する事が出来ます。
2019年より新型の革漉き機TK-802 BLが販売開始されており、各所に改良を加えた意欲作のようです。
それでいて価格も非常に良心的。私もぜひ使用してみたいです・・・・・。
Zit tools様では革漉き機だけではなく、TAKINGのミシンなども取り扱いをされています。
ミシンの導入を検討されている方も要チェックですね。
また、導入前に実機見学などをする事が出来る為、実際に使用感を確認してから導入検討する事も可能です。
遠方で見学が難しい場合は、相談や疑問点にも丁寧に答えていただけます。
更に、無期限のアフターフォローも行なっており、非常に信頼のできる代理店だと感じています。

2:一般的なハンドプレス機(ホック、カシメ用)

ハンドプレス機は、ホックやカシメを打ち付ける際には必須の道具と言えるでしょう。
一般的に使われている協進エルのハンドプレスがレザークラフトで使いやすくおすすめです。
モデルが大小ありますが、奥に差し込めるストロークに少し差があります。
小物メインであれば小、バッグなど大物を作る事が多いのであれば大が適しています。
どちらか決められない場合は大にしておくと潰しがきくので大をおすすめします。

ハンドプレスでホックやカシメの取り付けは、ほぼ100%失敗しません!
ホックやカシメは打ち具を使って、手作業でも取り付けは可能です。
しかし、打ち具を使っての作業は実は物凄く難しく、熟練した方でも失敗する確率も非常に高いのが現実です。
打ち損じると、金具も皮革も無駄にしてしまう可能性があり、とてもリスキーな作業なのです。
また、高い技術を要する割に、わざわざ打ち具を使って作業するメリットは一切ないと言っても過言ではありません。
ハンドプレスを使った方が、綺麗に、確実に作業ができるのです。
遅かれ早かれ、レザークラフトを趣味にするのであれば、間違いなくハンドプレスを導入する事になります。
打ち具を使って無駄な出費をするのであれば、少し我慢して最初からハンドプレスを導入しておきましょう。

3:特殊なハンドプレス機(汎用プレス機)

いわゆる汎用ハンドプレス機と呼ばれるプレス機です。
目打、ポンチ抜き、箔押し、焼印、圧し切り、カシメ、型抜き、などなど様々な作業ができる特殊なハンドプレス機が存在します。
Maison Methuselahでは、汎用プレス機の中でも評価の高い、レザークラフトに特化させたALL-2000という汎用プレス機を愛用しています。

使用する目的に合わせた様々なアタッチメントが、標準で付属しており、目的に応じて様々な作業が出来るようになっています。
そのプレス能力はMAX2tです。
とても軽い力で絶大な力をかける事ができるので、様々な作業の負担が激減します。
また、レザークラフトを趣味にされている方がもっとも気を使うのは、マンション内でのハンマーを使った目打ちだと思います。
最悪の場合、苦情問題になりかねない為、びくびくしながら作業しているという話は私の周りでもよくうかがいます。
しかし、ALL-2000はその問題を一気に解決できるのです。
標準で付属している、目打ち用アタッチメントを装着し、ほぼ無音で目打ち作業が出来てしまいます!
その上、垂直運動のプレス機の為、目打ちがブレません。
ハンマーを使った作業よりも正確にコントロールできる場合が多く、大きな力も必要ありません。
本当に静かに、楽に作業ができてしまう、革新的な製品です。
もちろん、上記に紹介しているホックやカシメを打つ一般的なプレス機としても使用可能です。
一台でほぼ全てのプレス作業ができてしまう優れもの。それがALL-2000です。
Maison Methuselahでは手裁断にこだわっている為、抜き型は使用していませんが、圧倒的なプレス性能を活かし、抜き型用のプレス機として使用することも可能です。
抜き型使用に特化したRP-2000というモデルも存在します。

用途に合わせて選択するとより効率的に作業ができると思います。
大変コンパクトなボディのため、大量に物を作る必要がある作家さんには最高の道具だと思います。
非常に高価なプレス機ですが、レザークラフトには間違いなく現状最高のプレス機です。

4:電子ノギス(デジタルノギス)

革の繊細な厚み調整や、その他色々使えるので、一つあれば非常に助かる道具です。
通常のノギスはメモリを読む必要がありますが、電子ノギスはスピーディ且つ正確に値を認識できるので、圧倒的に使い勝手が優れています。
電子ノギスも様々ですが、最も信頼性のあるのはMitsutoyo製の電子ノギスです。
Mitsutoyo製の電子ノギスは、高精度の要求される工業製品を作っている現場では欠かすことのできない測定器具となっています。
次いで、シンワ製、それ以下無名メーカーとなります。
ただし、革の測定に限れば、1/100の精度要求はまずないことから、無名メーカー製のノギスでも問題になることはほぼありません。
また、革の厚み測定のみであれば、措定範囲が狭いダイヤルゲージの方が素早く測定が出来、便利な面もあります。
ダイヤルゲージは尾崎製作所(ピーコック)のものがとても使いやすく、高精度です。
万能なのは電子ノギス、取り回しが良く、素早く測定出来るのはダイヤルゲージ。
私は測定箇所によって両方を使い分けています。
どちらもとても便利な道具なので、両方あれば言うことなしですね。

5:箔押し機(ホットスタンプ機)

ロゴなどの刻印や、焼印、箔押しに欠かせないのが箔押し機(ホットスタンプ機)です。
レザークラフト用品は奥が深く、様々な素晴らしい道具が数多く存在しています。
しかしながら、実は箔押し機に関してはあまり選択肢がありません。
【一般的に売られている海外製の箔押し機】
海外製の箔押し機は、手押し式や、プレス式の物が数モデルあるのですが、手押し式はコントロールが難しいので、箔押しには適していません。
また、プレス式の製品は一見きちんとしてそうに見えるものの、実際に使用してみると機械本体の剛性がまるで足りていません。
あまりハードに使わないのであれば事足りる場合もあると思いますが、長く使える耐久性はないと思っておいた方が無難です。
価格はある程度安く、魅力もあるのですが、自分の使用想定方法にきちんとマッチするのか見極めるのが肝心です。
海外製の為、きちんと保証がしっかりしているお店で購入することが肝心です。
あまり保証を気にせず最安店で購入すると即故障もあり得る製品なので、導入前に十分吟味してくださいね。

【私が唯一お勧めできる箔押し機】
箔押し機に関して私がお勧めできる唯一の製品は、五助屋レザー様で販売されている、ALL-2000用の箔押しアタッチメントです。

上でも紹介させて頂いている汎用プレス機ALL-2000に取り付けられるように作られています。
プレス機が頑丈な為、かなり安定した刻印が可能です。
おそらく小規模生産品で、強力なパワーでの刻印がしたい場合は唯一の選択肢になると思います。
これ以外であれば自分でプレス機を購入し、ヒーターユニットを組み合わせて自作するしかないでしょう。
私が知る限り、唯一無二の文句なしでお勧めできる箔押し機です。

 

以上、レザークラフトを生業とする方、本格的な趣味として取り組みたい方への基本的な道具の紹介でした。
そのうち、更にマニアックな道具達の紹介も行いたいと思います。
レザークラフトは奥が深い世界です。
ぜひ良い道具を大切に、長く扱えるよう、日頃のメンテナンスも忘れないようにしてくださいね。

Maison MethuselahのデザイナーMASATAKAです。 生涯寄り添いたい革製品をコンセプトに活動しています。 世界中から選びぬいた最高の素材を用いて、美しい手縫いの革製品を製作しています。
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